【SGE】AI搭載検索エンジンが登場?!予想される変化とは?
公開日: 2023.06.08
最終更新日: 2023.06.07
2023年5月、Googleは同社イベントであるGoogle I/Oにて、検索エンジンに生成AI(人工知能)を組み込んだ新たな仕組みの試験運用を予定していることを明らかにしました。
Google検索で検索窓に質問を入力すると、AIがそれに回答する文章を生成します。ユーザーはAIが生成した文章に追加で質問をしたり、文章とあわせてAIが表示したリンクをクリックしたりすることで、目的の情報を探すことができるようになるとのことです。
この記事ではGoogleが発表した新しい取り組みはどのようなことなのか、それによりこれまでのSEO対策や情報検索の環境にどのような変化が予想されるのかについて書いていきたいと思います。
検索体験を向上させる技術の進化
私たちが普段何気なく利用している検索ですが、初期の検索はもっと単純でした。
ネット検索が始まったばかりのころは、WEBから検索したキーワードと一致する情報を探すだけでした。その当時に「近くで日本酒がおいしい居酒屋を探したい」と思って「日本酒」と検索したとしても、現在のようにおすすめのお店を表示してくれるような高度な代物ではありませんでした。また、打ち間違いをしたら正しく結果が表示されないことは当たり前です。
その後検索エンジンのアルゴリズムが高度に成長していくにつれて、検索結果の予測を表示してくれるようになったり、誤字を入力していても本当は何を調べたかったのかAIが予測して正しく検索結果を表示してくれたりと、ユーザーの意図を反映した検索結果を表示するように進化を遂げてきました。
例えば、「バーボン」「いつから」で検索すると、ウイスキーのバーボンではなく名探偵コナンに登場するキャラクター「バーボン」について調べていると判断し、安室透がいつから黒の組織に潜入しているかの情報を扱っているサイトが優先的にリストアップされる形になっています。
ここまでのサービスに成長する過程では、数百のアルゴリズムの連携やディープラーニング技術の活用、既存技術の細かなアップデートなど、幾多の試行錯誤が繰り返し行われていたことでしょう。いやもう脱帽ですね。
新しい検索エンジン「SGE」とは
ここ数か月で生成AIについての話題が業界問わず活発になってきていますよね。代表的なものはOpenAI社の「Chat GPT」ではないでしょうか。
Twitterなどでは生成AIを活用した記事の執筆方法や業務効率化の方法、市場調査の方法など様々な活用例の情報が次々と溢れています。(弊社でも利用している社員は結構います)
そんな中で、先日Googleは生成AIを搭載した新たな検索エンジン「SGE」を発表しました。(SGEとは「Search Generative Experience」の頭文字をとった単語です)
ここからは、SGEによって可能となる検索体験ついて、Google公式ブログの内容を元にいくつか特徴をご紹介したいと思います。
情報の検索が効率的になる
Google公式ブログより引用
まず実現することとしては、少ない検索回数で目的の情報を見つけることができるようになることです。SGEを活用することで、複数のトピックスを含む文章ベースの質問を投げかけるだけで、最適と思われる解を提案してくれるようです。
例えば、会社のメンバーで歓迎会を開催するための飲食店を探している場合、以下のようなキーワードで検索することがあると思います。また、参加メンバーの年代や性別は様々で、上司も参加する場合は予算感やお店の雰囲気も気になりますよね。
「新宿 居酒屋 おすすめ」
「歓迎会 飲み放題付 居酒屋」
「歓迎会 予算」
「新宿 居酒屋 個室」
通常の検索では、それぞれのトピックスごとに検索して出てきた結果を元に、ユーザーが情報をまとめていく必要がありました。なんども検索する必要があり、たくさんの情報を取捨選択して一番適しているお店を探すことは意外と大変だったりします。
ではSGEを活用するとどのように検索の効率化がされるのでしょうか?例えば以下のような質問をしたとしましょう。
「新宿近辺で個室があり、飲み放題付プランがあって予算を抑えめな居酒屋を探していますが、なにかいいお店はありますか?」
そうすると、それぞれの条件にマッチしたお店のURLを提案してくれたり、あいまいな「予算を抑えめ」という部分に対して深掘りする追加質問を提示してくれたりすることになります。
すぐに需要にマッチした情報にたどり着けるだけでなく、より適した情報にたどり着くためのサポートまでしてくれるということです。通常の検索とは異なるチャットベースでの情報収集という新しい形での検索体験になります。
購買体験がさらに向上する
Google公式ブログより引用
商品を購入する際、実店舗だけでなくオンラインショップを活用されることは多いですよね。商品を探す際、ユーザーそれぞれで気になることは千差万別です。
例えば以下のような商品を探している場合、通常ではECサイトの商品ページの情報をそれぞれ比較し、条件にマッチする商品かを1つ1つ確認する必要がありました。
「黒のロングTシャツで、価格は3,000円まで、伸縮性と通気性がある素材でレビューの評価も高い商品」
SGEでは、検索結果画面上に上記のようなユーザーが気になる情報を提示する形で商品の提案をしてくれるようです。Googleショッピンググラフが情報源となっているようで、数十億の膨大な商品情報(商品の特徴、在庫、レビュー、バリエーション、素材etc…)からユーザーが探している商品に適した情報を提示してくれるものとなります。
モールやブランドごとのECサイトから個別に商品を探すよりも、格段に効率的に求める商品を探すことができます。
※上記SGEの特徴については、Google公式ブログに記載の内容を参考にしています。詳細は以下のサイトをご確認ください。
参考:Google公式ブログ
https://blog.google/products/search/generative-ai-search/
SGEの登場により何が変わるのか
ここまでご紹介した特徴から、SGEの登場によって変化することの一つとしては、「情報収集が検索結果画面のみで完結する場合がある」ということです。
何度も検索を行うことや各サイトを訪問することなく、検索結果画面の最上部にユーザーに適した情報が表示されるようになるため、ユーザーにとっては非常に便利な機能となることでしょう。
では、情報を発信する側であるサイト運用者視点ではどうでしょうか?界隈で少し話題に上がっていましたが、SEO対策についていろいろと懸念があがっているようです。
SGE登場によるSEO観点での懸念
1度は聞いたことがあるSEO対策、いろいろありますがざっくりどういうことかをおさらいすると
「検索エンジンから正しくサイトを評価してもらい、検索結果一覧画面で上位表示させサイトの露出を増やしていくためにサイトを改善していく施策」です。
ここで重要となるのが「検索結果一覧画面で上位表示させる」という点。Web上には膨大な情報があり、常に競合がひしめき合っています。そのような状況下で自社の商品、サービスをユーザーに認知してもらい、CVにつなげるためにはなるべく露出を増やしていくことが重要です。その方法の一つとしてSEO対策は重要でした。
ただし、SGEの特徴でお話した通り、検索結果一覧画面の一等地である上位部分は新たな検索エリア(と広告)が占めることになります。ユーザーの注目はそこに集中することが予想されるため、SEO対策を行い競合サイトより自社サイトを上位に表示したとしても、それよりも目立つ部分にSGEが存在することになるため、ユーザーの目に留まる可能性が低くなり流入が減少するのではないか?という懸念が出ています。
これからどうなるのか
SGEの登場によって私たちの検索体験が変化することが予想されるように、上記懸念があるように情報発信側でも環境が変化することが予想されます。質問形式での検索ができるようになると、「チャーハン 作り方」のような知りたい系での検索流入(Knowクエリ)は、これまでと比較して減少するのではないかと思います。
また、SGEで提案された検索結果の候補に選ばれやすくする対策、SGE対策とでも呼ばれそうな新たなWebマーケティング手法なんかも登場してきそうです。(あくまで予想ですが)
とはいえ、多少の方法論や考え方が変わったとしても、情報発信を行う上での本質は変わらないと思います。
Googleは検索品質ガイドラインの中で「E-E-A-T」というものが重要としています。E-E-A-TはそれぞれExperience(経験)Expertise(専門性)Authoritativeness(権威性)Trustworthiness(信頼性)を表しており、細かな解説は割愛しますが、要するに「ユーザーにとって利のある、信頼できる正しい情報を評価します」ということです。この基本的な考え方は変わらないと思いますので、これからもそれを意識した情報発信を継続していき、その情報がユーザーに届きやすくするための対策を講じていくことが重要と考えます。
最後に
この記事ではSGEの概要とそれによる変化の予想についてお話しました。SGEは本格導入が決まったわけではなくテスト段階のものですが、今後また動きがあったらまとめてお話していこうと思います。
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